十角館の殺人(綾辻行人)と誰もいなくなった(アガサ・クリスティー)

今さらですが、綾辻行人さんの十角館の殺人を買って読みました。本当に今さら…(;´Д`)
ネタバレ含むので嫌な人はお気を付けを。


アガサ・クリスティの「誰もいなくなった」のオマージュ作品だそうで、確かに先に読んでいると2倍楽しめる内容になっています。

全体的にとても面白かったのですが、2点残念なとこが!!

1)ミステリー初心者にお勧めの1冊!
これがうたい文句だったんですが、ぶっちゃけ初心者じゃない方が楽しめる(だまされる)内容になっています。
ミステリー研究会の主要メンバーにはミステリー作家のあだ名がついてるのですが、
メンバー名 ➡ あだ名(元ネタ:代表作品)
・山崎喜文 ➡ ポウ(エドガー・アラン・ポー:モルグ街の殺人)
・鈴木哲郎 ➡ カー(ジョン・ディクスン・カー:黒死荘の殺人)
・松浦純也 ➡ エラリィ(エラリー・クイーン:Yの悲劇)
・守須恭一 ➡ ヴァン(S・S・ヴァン・ダイン:グリーン家殺人事件)
・岩崎杳子 ➡ アガサ(アガサ・クリスティ:名探偵ポワロシリーズ)
・東一   ➡ ルルウ(ガストン・ルルー:オペラ座の怪人)
・江南孝明 ➡ ドイル(コナン・ドイル:シャーロック・ホームズシリーズ)
ミステリー初心者で作家名知ってるのって、アガサ・クリスティとコナン・ドイルくらいかと。

他に、モーリス・マリー・エミール・ルブランもでてくるんだけど、これはアルセーヌ・ルパンシリーズを書いた人の名前。
ルパン知ってても書いた人の名前ってなかなか出てこないものだよなぁ、と。
ミステリー初心者に求められるレベル高くね?w

2)殺人動機が!!
↑の一言で終了してしまうのですが、殺人動機が微妙。
*1組のカップルが皆に内緒で付き合っていた。(内緒なのは大人しい性格なのと、2人だけの秘密みたいなのが素敵だったから。)
*サークルの飲み会で彼氏は2次会で用事があって帰ったが、いつも1次会で帰る彼女がこの時は3次会まで残った。
*彼女は実は体が弱く、飲みすぎたお酒のせいで急性アルコール中毒を起こし死亡。

こんなことがあり、彼氏は
「みんなが酔って彼女に無理やり酒を飲ませたせいで死んだんだー!殺してやるー!!」
と思ったのが殺人動機。
…いや、本当に。急性アルコール中毒を起こした彼女を放置した、性的ないたずらをしたとかそうゆうのも何も書いてない。
正直、「いや、いつも体が弱いからって1次会で帰ってた彼女さん、こん時なんで3次会まで参加したのさ??」と思ってしまう。当たり前ながらその理由も不明。

殺人の動機をクリアしても殺人方法も意味不明なんだよね。トリック、ではないんだけど。
ひとりづつ、じわじわ、と殺されていくことでみんなに恐怖を与えることが目的。というわけで一人づつ殺されているわけですが。

「誰もいなくなった」では被害者がそれぞれに罪を抱いていて、罪を告発されたのちひとりづつ殺されていくという流れから、自分の罪と殺される恐怖と誰が殺人者かわからないから疑心暗鬼になっておそろしいストーリーが生み出されている。
「十角館の殺人」では、なぜか一人づつ誰かに殺されていくというストーリーになってしまっている。
例えばどこかで「お前たちが彼女を殺した」みたいな怪文書がでてくるとかしたら、ちょっと違ったんだけどなぁ。犯人はただ死ぬ恐怖を与えたかったのかなぁ?だったら、全員眠らせて監禁して目の前で殺す方が怖いと思うんだけど。
結局、彼女は・急性アルコール中毒からの心臓発作で死亡・3次会に参加・みんなには内緒の彼氏、という情報しかないまま物語が終わるのでモヤるw

なんだかんだ書いたけど、面白い小説です。
個人的には「誰もいなくなった」のあとに「十角館の殺人」を読むのがおすすめ。
そして!できればミステリーを多少読んだり興味を持ってる人の方がより楽しめる内容になってる思うのです!

コメント